【レビュー】TANCHJIM ZERO
- 2022.08.11
- TANCHJIM

メーカー | TANCHJIM |
機種名 | ZERO |
価格帯※ | 約3千円 |
このサイトではイヤホンの周波数特性を計測し、実際に使用して感じた音の傾向をご紹介しています。
購入を検討している機種や気になるメーカーなどありましたら、ご参考にしていただければ幸いです。
スペック
イヤホンタイプ | カナル型 |
ドライバ | DD(10mm) |
再生周波数帯域 | 7Hz〜50kHz |
感度(出力音圧レベル) | 118bB |
インピーダンス | 32Ω |
ジャック径 | 3.5mmアンバランス |
リケーブル | 不可 |
周波数特性
※周波数特性は当該サイトにて実機を測定したものになりますが、当該製品の周波数特性を保証するものではありません。あくまでも参考情報としてご覧ください。
周波数特性を確認することで、イヤホンの音の傾向を把握することができます。
音域ごとの周波数は以下の通りです。
超高音 | 20kHz以上 |
高音 | 2kHz~20kHz |
中音 | 250Hz~5kHz |
低音 | 100Hz~300Hz |
重低音 | 50Hz~100Hz |
超低音 | 50Hz以下 |
イヤホンが得意とする音域を把握することで、音源とイヤホンの最適な組み合わせを模索することができます。
各音源の大まかな周波数帯域は以下の通りです。
女性ボーカル | 800Hz~900Hz |
男性ボーカル | 600Hz~700Hz |
ピアノ | 40Hz〜6kHz |
パイプオルガン | 16Hz〜10kHz |
ギター | 165Hz~1.3kHz |
バイオリン | 196Hz~2kHz |
チェロ | 65Hz~659Hz |
コントラバス | 49Hz~233Hz |
アルトサックス | 146Hz~880Hz |
テナーサックス | 110Hz~660Hz |
今回イヤホンの周波数特性を計測したところ以下のようになりました。
※測定環境の都合でイヤホンのスペックに関係なく高音は20kHzまでとなります。
※計測環境が異なるため、メーカーから公開されている周波数特性と異なる場合があります。

高域の3kHz付近にピークのある、概ねフラットな傾向のイヤホンです。
音の傾向
※音の傾向を実機にて評価していますが、全ての使用者にとって同じ評価となることを保証するものではありません。あくまでも参考情報としてご覧ください。
イヤホンを購入される際には、可能であれば実機での事前試聴を推奨します。
また、各ECサイトやブログなどのレビュー・評判などもご参考にされることをオススメします。
高音 | 自然な響きで伸び伸び出ており、音の痩せは感じません。 煌めく高域もしっかり表現され、バイオリンやパイプオルガンの高域では若干の刺さりを感じることがあります。 |
中音 | 解像度高めですが丸みのある滑らかな音です。 「音場・音像」でも説明しますがボーカルが近く、ボーカルメインで聴き込みたい用途で使いやすいと思いました。 |
低音 | ボワつきの無い、自然な響きのある低域です。 アタック感はあり、また深い低域まで出ていますが、他音域より抑えられた印象を受けました。 |
音場 音像 | 録音時の環境が音像定位に出やすいイヤホンの様で、編成曲やオーケストラなどの1カ所からまとめて録音されたであろう音源では音像が遠く感じ、ボーカル曲などの各音源をそれぞれ録音してミックスしたであろう曲では音像がかなり近く感じます。 左右の分離はかなりはっきりしているようで、編成曲や音像がチェロ程度の大きさでは自然に聞こえるのですが、ピアノやパイプオルガンなど音の発生箇所が分散された楽器のソロ楽曲では左右が別々の楽器の様に聞こえるシーンがありました。 |
繊細さ 迫力 | スッキリ聞こえ解像度も高く感じますが、若干丸みを帯びた優しい音です。 アタック感はしっかりありますが、低音が抑え気味のバランスなので迫力を求める方には少し物足りなさを感じるかもしれません。 |
使用感その他
※使用感は個人の主観となりますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。
低価格に抑えるために安価・軽量な素材で作られているためか、チープで華奢な印象を受ける筐体です。
大型のドライバを搭載していますがステムが短いため筐体が耳介に干渉する形状となっており、さらに耳から垂らして装着する際にはケーブル付け根部分のプラスチックパーツが刺さるため長時間の使用では痛みを感じました。
また、本体の左右はLRの刻印や色分けがないため初見では左右がわからず困惑しました。(フェイスプレートの刻印は左右異なっており、左側が「ZERO」刻印、右側がメーカーロゴ刻印です)
低価格な機種ですが音に関係するパーツのコストは下げられていない様で、ケーブルはしっかりした銀メッキケーブルです。
軸の長いダブルフランジのイヤーピースを使用すると耳介への干渉を避けられ、ちょっとした工夫で装着感の弱点を解消することができ長時間利用も可能になりました。
コストを音質に集中している潔さは個人的に好印象でした。
まとめ
装着感やデザインは価格相応ですが、音質については値段からはちょっと考えられないハイレベルなものに感じました。
近年他社の低価格帯ではFinal Eシリーズとよく似たデザインのモデルが増えていますが、ドライバを小型化して無駄を省くことで低価格化をはかっている他社の製品とはアプローチが異なります。
大型ドライバの余裕のある音色を低価格で楽しみたい方には是非お試しいただきたいイヤホンだと思います。
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