【レビュー】Final Adagio III
- 2022.08.21
- Final

メーカー | Final |
機種名 | Adagio III |
価格帯※ | 約6千円(メーカー終売品) |
このサイトではイヤホンの周波数特性を計測し、実際に使用して感じた音の傾向をご紹介しています。
購入を検討している機種や気になるメーカーなどありましたら、ご参考にしていただければ幸いです。
スペック
イヤホンタイプ | カナル型 |
ドライバ | DD(8mm) |
再生周波数帯域 | 公開情報なし |
感度(出力音圧レベル) | 100bB |
インピーダンス | 16Ω |
ジャック径 | 3.5mmアンバランス |
リケーブル | 不可 |
周波数特性
※周波数特性は当該サイトにて実機を測定したものになりますが、当該製品の周波数特性を保証するものではありません。あくまでも参考情報としてご覧ください。
周波数特性を確認することで、イヤホンの音の傾向を把握することができます。
音域ごとの周波数は以下の通りです。
超高音 | 20kHz以上 |
高音 | 2kHz~20kHz |
中音 | 250Hz~5kHz |
低音 | 100Hz~300Hz |
重低音 | 50Hz~100Hz |
超低音 | 50Hz以下 |
イヤホンが得意とする音域を把握することで、音源とイヤホンの最適な組み合わせを模索することができます。
各音源の大まかな周波数帯域は以下の通りです。
女性ボーカル | 800Hz~900Hz |
男性ボーカル | 600Hz~700Hz |
ピアノ | 40Hz〜6kHz |
パイプオルガン | 16Hz〜10kHz |
ギター | 165Hz~1.3kHz |
バイオリン | 196Hz~2kHz |
チェロ | 65Hz~659Hz |
コントラバス | 49Hz~233Hz |
アルトサックス | 146Hz~880Hz |
テナーサックス | 110Hz~660Hz |
今回イヤホンの周波数特性を計測したところ以下のようになりました。
※測定環境の都合でイヤホンのスペックに関係なく高音は20kHzまでとなります。
※計測環境が異なるため、メーカーから公開されている周波数特性と異なる場合があります。

低域の40Hz付近と高域の3.5kHz・6kHz付近にピークのあるドンシャリ傾向のイヤホンです。
音の傾向
※音の傾向を実機にて評価していますが、全ての使用者にとって同じ評価となることを保証するものではありません。あくまでも参考情報としてご覧ください。
イヤホンを購入される際には、可能であれば実機での事前試聴を推奨します。
また、各ECサイトやブログなどのレビュー・評判などもご参考にされることをオススメします。
高音 | 鋭く解像度の高い高域です。 やや抜けが良くなく、楽曲によっては伸びきらないもどかしさを感じました。 低域の強さに埋もれることなく、しっかりとした存在感があります。 |
中音 | 中域はやや低域に埋もれがちです。 ミックス時に強調されているボーカルは明瞭に聞こえ問題を感じないレベルではありますが、ピアノのソロ楽曲などでは中域の埋もれが気になりました。 |
低音 | 弾力のある柔らかい音色で、ややくぐもった印象を受けました。 他音域に比べて強くまた量感を感じるのですが、チェロのソロ楽曲ではチェロの演奏自体よりも残響音の方が強力に鳴ってしまう場面がありました。 |
音場 音像 | 音像は近く、また密集して聞こえますが、音場の狭さは感じません。 |
繊細さ 迫力 | 高域・中域は解像度が高く、低域は低く感じました。 低域が強く、アタック感も良好なことからバスドラムやベースの迫力が良好です。音ゲーでの使用ではかなり楽しく感じました。 高域の鋭さと低域の壮大さがかなりパイプオルガンの表現にマッチしており、大迫力でパイプオルガンのソロ楽曲を楽しむことができました。 |
使用感その他
※使用感は個人の主観となりますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。
かなり好みの分かれそうな、ジェットエンジンのような形状です。
樹脂製で高級感はありませんが、作りはしっかりしており雑に扱っても問題なさそうな安心感があります。
小型ですが若干膨らみのある形状なので、同社Eシリーズの様に耳道へグイグイ押し込むように装着することはできませんでした。
表面のツルツルした細めのケーブルで、タッチノイズがそれなりに出るため気になる方はシュア掛けでの利用がおすすめです。
まとめ
低域に極端な強調があるためジャズやクラシックなどでは楽曲選びが難しいのですが、ボーカル曲では比較的使いやすい印象でした。
ポップなどではこのイヤホンで極端に強調される音域が使われておらず一般的なイヤホンと変わらないバランスで楽しめる楽曲も多く、またメタルではベースやドラムが心地よくとても楽しめました。
クラシックの中でもパイプオルガンのソロ曲では抜群の親和性を発揮し、パイプオルガンのために開発されたイヤホンだと言われても信じられるレベルだと感じました。
音色にかなりクセがあり決して万能に使えるイヤホンではありませんが、ハマる楽曲では他のイヤホンではできない体験を得られるとても面白いイヤホンだと思います。
よく似たデザインの下位機種にAdagio IIがあり周波数特性もそっくりですが、音色が全く異なっておりグレード上位・下位の関係ではなくチューニングの違いになります。
Adagio IIIはクセが強いため、普段使いのイヤホンをお探しの方にはAdagio IIの方がマッチしやすいと思います。
唯一所持する1本として購入することはオススメしませんが、安価で手に入るなら複数のイヤホンを所持して音の違いを楽しまれる方には是非お試しいただきたいと思いました。
-
前の記事
【レビュー】Final Adagio II 2022.08.21
-
次の記事
【レビュー】Final Adagio V 2022.08.27